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違法伐採に対するEUの取り組み / Illegal logging – evaluation of EU rules (fitness check)

一般市民にとって、森林の違法伐採問題はイメージはできても身近な問題として感じることが難しいものです。しかし、違法伐採をして利益を得ている存在は現実にあります。
  
一般的に、違法伐採とは国内法に違反した木材の収穫のことです。違法伐採によって経済、社会、環境に大きな影響を与える国際的な問題です。違法伐採を規制する国際的な動きとして、ヨーロッパには2つの主な法的措置があります。そのひとつが2013年から取り組まれているEU木材規制(EUTR)です。
  
EUTRは、木材産業に関わる事業者にとって、違法伐採木材のEU圏内市場での取扱禁止、輸入木材の情報を積極的に提供することとリスクアセスメント手順の実施(違法伐採された木材製品の発生リスク評価等)、リスク軽減対策としてトレーサビリティ義務、市場における木材製品の取扱者が供給側に関する情報を詳細に記録しなければならない、という3つの要件を定めています。
   
合法的に伐採されていない木材や木材製品の取引を禁止する法規制が進んでいるところですが、こうした法規制はそれまでの取り組みや成果を評価し、次の政策に活かすための評価期間が設けられています。このEUの違法伐採に関する法規制について、1月から2月までがフィードバック期間として設定され、成果と今後のロードマップが示されました。
この評価・適合性チェックでは、これらの規制が国際的視点からどのように機能しているか、その効果、効率、関連性、一貫性があるかどうか等、そして圏内の取り組みを効果的に補完しているかどうかが診断されます。
 
チェックの結果は概ね良好で、違法伐採阻止の枠組みとして機能できているという評価をした国や機関が多いです。
先の課題として、特に森林認証制度との効果的な関連性について規制の改善と拡張を望む意見もありました。

Illegal logging – evaluation of EU rules (fitness check)

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認証制度の信頼性 / Certification system reliability

認証されたモノの信用が崩れる時はどんな時か?

昨今、日本ではクラウドファンディングが流行ってるらしいけど、それはドイツでも同じ。ドイツでは、これとよく似た仕組みで例えば、キャンパクトという団体が取り組んでいる「オンラインペティション」というものがある。不公平なことや社会的問題となる政策や政治に対して、主にインターネットなどオンラインで署名を集め、請願活動をおこなう。

ずいぶん前だが、このオンラインペティションで、ルーマニアの森林でクマの生息地が消滅の窮地にある、それをくい止めるために署名をして下さい、というメールが送られてきた。(ルーマニアの首都はブカレスト、東は黒海に面し、セルビア、ハンガリー、ウクライナ、モルドバ、ブルガリアに囲まれた、人口2000万、ちょうど日本の本州くらいの大きさの国。国土の3割が森林で、広葉樹林:針葉樹林は7:3)

よく調べてみると、クマが窮地にあるのは積み重なってる諸問題の結果として表面に見えているだけで、本当はすごく奥が深いことが分かる。問題の全貌がよく分からない。おそらく、その一番の問題は、森林認証が取得されている森林にも関わらず、違法伐採が横暴し、しかもそこから生産される木材が認証材として市場に流通している、ということらしい。また、それは隣国ウクライナまで複雑な構造で拡大している。アメリカ・ワシントンの非政府組織、EIA(Environmental Investigation Agency)の長年に渡る調査によると、オーストリアに本社がある木材産業企業Holzindustrie Schweighoferがルーマニアにおよそ10年前に進出したことから、違法伐採が拡大していることを指摘している。

そして、その輸出先として日本が挙がっている。Schweighoferと取引をしている日本企業は、誰でも聞いたことのある最大手の商社が連なっている。この日本企業のほぼ全てが、製材品と集成材を住宅関連会社に販売する事業を展開している。つまり、この木材は日本の木造建築に広く使われている可能性がある。

届いたメールは、この会社に対して森林認証を認めないように、みんなで森林認証機関に請願しようというものである。

この情報が事実であるならば、本当に奥が深くて、EU域内の貧富の差や森林認証制度や国際貿易の動向とか、色々と問題が重なっている。分かってはいたけど、そこに日本の存在が結構大きく影響していることは複雑な気持ちになる。

森林認証とは、独立した第三者機関が一定の基準に基づいて、適切な森林経営が行われているかを審査し、認証した森林から生産された木材製品を分別して表示することによって、消費者の選択的な購入を通じて、持続可能な森林経営を支援する仕組みのことであり、認証制度が世界で普及してきた背景には、木材について国と国との貿易で主に輸出する側が輸出先に対して、自らが取り扱う木材が持続可能性のある原材料であることを証明する必要があったからという一面もある。

この森林認証に関する状況は世界全体で見ると、ものすごく偏っている。地球にある森林のおよそ1割がなんらかの森林認証を取得しているけど、そのうちの9割が北米とヨーロッパの森林である。例えば、認証された森林はここ数年、ヨーロッパだけが数百万ha単位でちょっとずつ増えている。つまり、日本も含めた他の地域では森林認証の取り組みは全然進んでない。それはなぜか。これはまた違う視点からの整理が必要。

一方で、木材輸出を促進したい、森林認証を普及させたい日本政府。林野庁は森林所有者に向けて認証取得ガイドを提供している。「森林認証は、あなたの森林管理の確かさをアピールするツールです。[…]国際的にも違法木材に対する規制や、破壊的な林業を拒否する動きが高まっています。あなたの森林管理が国際性を有する基準に照らして適切であるこを証明することは、今後の林業・木材産業の発展に有効な取組と考えられます。」木材産業者向けにはこう。「森林認証は社会、経済、環境の3つを同時に担保する認証です。森林認証のロゴマークが商品に表示されることで、適切な森林管理がなされた木材や製品を消費者が選択することができます。森林認証に取り組むことで、地域の適切な森林管理を後押しする大きな役割を担うことに貢献します。」

この文章には当然ながら言うまでもない前提がある。森林認証は国際間で疑うことなき適切に管理され生み出された木材の証。日本から輸出する木材も、日本に輸入される木材も森林認証があれば、一定の基準を満たした認証材としては変わりない。このルーマニア違法伐採の一件は、その信用を揺るがしかねない。

EIAの報告が本当に事実であれば、ルーマニアやウクライナから先の企業を通じて日本に輸入する日本企業は、その違法性を知らないで輸入しているのか。または、知っていてしているのか。もし知っていて輸入しているとして、政府はそれを知らないのか。

そして、この話は日本のグリーン購入とクリーンウッド法につながる。でも、これらにはアメリカや他の木材貿易主要国にあるような罰則規定がない。EIAはこの件を受けて、日本政府に対して、十分なデューデリジェンスの実施と効果的な罰則を伴う違法伐採木材の輸入禁止に関する法律を制定するように提言している。だけど、なぜか、日本は違法伐採に対する業者の罰則を明確に規定しない。

最近、あなたが建てた家の木はヨーロッパから来ている森林認証材じゃないですか?

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オーストリアの森林認証の運用状況 / Operation status of forest certification in Austria, Europe

English version is below

お客様のご依頼で欧州オーストリアでの森林認証の運用状況について、現地の関係者にお話しを伺いました。

日本の森林・林業・木材産業に関する試験研究を行う国立機関である森林総合研究所の研究者様よりご依頼いただき、視察コーディネート及び通訳を通して海外調査のご活動をご支援いたしました。

今回の海外調査は、欧州オーストリアでの森林認証の運用状況などを関係者にヒアリングし、日本の林業・木材産業の状況を踏まえた議論を通じて、ひいては地域産業のさらなる発展に寄与することを目的とするものです。地元中小規模の製材企業から集成材を取り扱う世界的な大企業まで、また、公的な森林を経営管理する半官半民企業を訪問し、現地にてキーパーソンから説明を受け、森林認証を介した木材産業の在り方について情報交換をしました。

森林認証の説明についてはこちらをご覧ください。
森林認証とはなにか

オーストリアでは森林認証の取得・運用は木材流通を展開するスタンダードとなっているなかで、地域の関係者が森林認証をひとつの動機として団結し、林業の地域産業としての地位を築き上げていることが分かります。一方で、住民の森林への要求が刻々と変化するなかで地域の森林を活かすための課題もあることが分かりましたが、そうした経験談を実際に担当者からお話いただくことでより理解が深まり、国は違えど木材産業に携わる者として学ぶ点は大変多いと思います。

喜代七屋/合同会社喜代七では、森林認証などに関わる海外調査支援はもちろん、地域で森林認証の導入検討から認証取得まで、お客様のご要望に沿った業務内容をご相談の上、ご支援いたします。ご関心のある方はお気軽にお問合せください。

お問い合わせはこちら 問い合わせフォーム

※本記載内容はお客様及びご関係者様のご了承のもと公開しております。

 

We supported overseas survey activities through visit coordination and interpretation, because we received a request from a researcher at the Forestry and Forest Products Research Institute in Japan, which is a national institution that conducts experimental research on the Japanese forestry and timber industries.

In this overseas survey, we interviewed the relevant parties regarding the operational status of forest certification in Austria. The purpose of this survey is to contribute to the further development of local industries through discussions based on the situation of Japanese forestry and timber industries. We visited a local sawmill company, a large global company handling laminated timber, and a company that manages public forests. We received explanations from key persons at the site and exchanged information on the ideals of the timber industry through forest certification.

Click here for an explanation of forest certification.
[what’s the forest certification?]

In Austria, operating forest certification has become the standard for developing timber distribution. During this survey, we understood that local stakeholders united forest certification as a motivation and built up the status of forestry as a local industry. On the other hand, we found that there are problems to make a better forest management of local forests as residents’ demands for forests change every moment. I think that there are many points to learn as a person who is involved in the timber industry, although it is different in the country.

Kiyoshichi LLC supports not only overseas surveys related to forest certification, but also supports services tailored to customers’ needs, from introduction of forest certification to acquisition of certification in the region. Please feel free to contact us if you are interested.

* The contents of this description are open to the public with the consent of customers and related parties.

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森林認証とはなにか / what’s the forest certification?

Written in Japanese

森林認証とは

森林認証とは、森林やその経営組織において適切な森林管理が行われていることを、一定の基準に則して独立した第三者機関が審査・認証する制度のことです。森林認証がある森林から生産される木材や木材製品、紙、食品には認証されたラベルを表示することができ、持続可能性に配慮された製品を私たち消費者が選択的に購入することができます。一般的には、森林認証制度は、こうした市場メカニズムにより持続的で適正な森林管理を川下※1(住宅建築部門や消費者サイド)から促すことを目的としています。

森林認証制度は、ひとつではなく複数あります。いずれも定める基準に則して、適切な森林管理が行われていることを認証する「森林管理認証」と、森林管理の認証を受けた森林から生産される木材・木材製品・紙などの林産物であることを認証する「加工・流通過程管理の認証」の2種類の認証制度があります。前者は森林管理のFM認証(Forest Management)、後者は加工・流通過程管理のCoC認証(Chain of Custody)と呼ばれます。

近くのスーパーや本屋さんでこうしたラベルを見たことはありませんか?

森林認証ラベル(FSC、PEFC)

ドイツではこんな感じで色んな商品に森林認証ラベルが表示されています。

先に森林認証制度は複数あるといいましたが、日本で取り組まれている認証制度は3つです。それは国際NPOが運営するFSC(Forest Stewardship Council)認証制度、一般社団法人緑の循環認証会議が運営するSGEC(Sustainable Green Ecosystem Council)森林認証制度、国際NGOのPEFC(Programme for Endorsement of Forest Certification Schemes)です。PEFCは、世界各国で地元の関係者によって独立的に設立運営されている森林認証制度を、国際的に共通するものとして審査及び相互承認を行うことで、森林認証制度として認められています。

森林認証ができた背景

森林認証の発端は熱帯林での森林破壊が顕在化してきた1980年代にあります。熱帯林を主とする森林破壊問題に関心が高まり、適切な森林管理から生産された林産物への需要が増えていきました。1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた地球環境サミットでは、世界的に持続可能な森林経営を目指すことを宣言し(森林原則声明)、その後の森林に関する政府間フォーラムでそのための基準と指標の検討につながります。そうした中で生まれてきたのが、森林認証システムでした。世界には50を超える森林認証システムがありますが、代表的なものでは、WWFを中心に発足したFSC(森林管理協議会)、環境管理システムの国際標準規格であるISO14000シリーズ、など。世界統一基準の認証システムであるFSCは1993年に設立され、地域認証システムであるPEFCは1999年に設立されました。ざくっとした流れでした。

森林認証の必要性と取得メリット

森林認証を取得するメリットについて、FM認証では、森林認証を取得した森林から生産される木材を必要とする需要側にその木材を供給することが可能になります。なにより、森林管理の国際的な水準である森林認証制度の基準に則して公的に認められることは、目に見える経済的メリットだけではなく森林を管理する方にとって誇りでもあり、経営上のリスク低減を図ることにもつながります。CoC認証では、認証製品の性質でもあるように、認証材を利用した商品を購入することで持続可能な森林管理を支援することができます。また、森林認証に関心が高い新しい顧客を開拓できること、取り扱う企業にとっては、環境保全への積極的な取り組みをアピールでき、ブランドイメージの向上につながります。マーケティング以外の部分では、例えば、森林管理の方法を文書化することで管理体制を可視化でき、森林に対する地域住民の意識の変化を促すことも考えられます。このように森林認証を取得し、それを活用することで、その関係者が協働し、地域の森林をより豊かな森林へと改善していくことができるというのも森林認証制度の良い点だと思います。

森林認証(認証された森林面積)は木材貿易が盛んな北米や欧州などを中心に、世界全体で増加傾向にあります。そのような中で森林認証を取得していないことで想定されるリスクは、例えば、調達した木材が違法伐採された木材であるリスク、合法性やトレーサビリティのない木材を使用することでその企業の評判を下げるリスク、海外の情勢変化によって材料調達が難しくなるリスク、国際市場に国産材が輸出できなくなるリスクなどが挙げられます。

森林認証の役割や取得するメリットなどを簡単に書きましたが、日本国内の動向や海外の動向については、別の記事で書きたいと思います。

※1 林業・木材産業においては、木材の生産から加工、利用までの流通体制のことを川の上流から下流までになぞらえて、川上、川中、川下と呼ぶ。川上は森林所有者を含め造林・素材生産部門など、川中は製材・加工部門など、川下は住宅建築部門や消費者などが該当する。